私は現在、高度生殖治療(体外受精)真っ只中の38歳。何度も採卵と移植を繰り返しても、授からない。
「ああ、うちには子供は授からないのかもしれない・・・」そう思い始めた今日この頃、「不妊治療、やめました。~ふたり暮らしを決めた日~」という本を思わず手に取りました。
「読んでいて、つらくなる」?
こちらはとても有名な本ですし、同じ病院に通う妊活仲間からも「あの本読んだよ!」という話は聞いたことがありました。
「正直、読んでて辛くなる」という子もいました。
そして今回読んでみて、その意味がわかりました。
仲のいい夫婦だけど、気になる言動
筆者である堀田あきおさんの、妻かよさんへの言動が・・・どうにもつらいんです。
基本的にはとっても仲のいいご夫婦で何でも言い合い、けんかもするけどお互いにべた惚れなんだな~というのはわかります。
でもかよさんが「不妊症」と病院で言われた時のあきおさんの反応が・・・「なんでおめーみてーなハズレと結婚しちまったんだ」

・・・・・・これは聞き捨てならない。
不妊原因の半数は男性にあるということも知られてきている昨今ですが、なかなか授からない場合にはまず「私が悪いんだ・・・」と責任を感じてしまう女性は多いと思うんです。
そこに追い打ちをかけるように「お前はハズレ」だなんて夫に言われたら・・・!
ケンカどころじゃすまないかもしれません。
そのくらい、強烈な言葉だと思うんです。
夫婦の数だけ、決断がある
そんなあきおさんですが、やっぱりかよさんへ寄りそう思いが感じられる場面も多くあるので、読み進めるうちに不快感は徐々に減っていきました。(すみません何様ですね)
こちらの夫婦は最終的に高度生殖治療(体外受精や顕微授精)に進むことはせず、不妊治療を終えることになります。
それでも「きっとこの夫婦は今幸せに暮らしているんだろうな」と思える読後感でした。
夫婦一丸となって”不妊”へと立ち向かう
不妊治療の内容自体は古く、今参考になることは少ないかと思いますが
夫婦一丸となって不妊治療へ向かう大切さ、治療中は辛いことも多いけれど何でも夫婦で話し合って一歩一歩進んでいく大切さがわかる漫画だと思います。
「結婚したら、子供がいてあたりまえ」
未だにそんな考え方が多数派で浸透していると思います。そしてその生き方が大多数の幸せなのだと。
決してそんなことはない!どうかいろんな幸せの形があることを知ってほしい。
子供がいる、いないは夫婦のライフスタイルにとても大きな影響があります。
でも、子供がいてもいなくても、夫婦が足並みを揃えて立ち向かわなければならない事態はいつだってあるはず。
そして夫婦がどう生きていくか、何が幸せなのかは夫婦の数だけ決断があるはず。
とある夫婦の決断の一つが垣間見えるこの本は、不妊治療中の方だけでなく、そういった治療に縁のない方にも読んでほしい一冊です。
井川まりこ
駆け出しWebライター兼デザイナー。現在会社員の傍ら、ライター修行中。